後悔しない住宅ローンを組むための考え方
みなさん、こんにちは!
大阪府吹田市で近藤会計事務所を運営している近藤です。
公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー・認定経営革新等支援機関の資格等を元に日々奮闘しています。
さて、巷では住宅ローンの金利上昇不安が起こっています。
発端は2024年7月31日に金融政策決定会合にて、政策金利を0.25%程度に引き上げる追加利上げが決定した事です。
これにより、植田総裁の名前をつかって「植田ショック」により、株価が一時4,451円も暴落した事でSNSでは阿鼻叫喚となっていました。
このように不安に思う方が多くいらっしゃいます。
住宅ローンについてどのように考えているのか、公認会計士及びFP2級技能士の1つの意見として、参考にしていただけると幸いです。
住宅ローンを組む時に必ずして欲しい事
住宅ローンを組む金融機関や金利タイプ、団信の種類など後悔ポイントは人それぞれだと思います。
ただ、住宅ローンで後悔しない最も大きなポイントは1つだけだと考えています。
唯一、この1点だけは、きっちりと抑えて欲しいです。
この家計の状況を適切に把握さえ出来ていれば、住宅ローンをどの金融機関で組もうか、金利タイプはどうしようか、団信の種類はどうしようか。といった悩みはおのずと決まってきます。
1年間の家計の状況を把握
家計の状況を適切に把握するうえで大事になるのは対象とする期間の設定です。
家というのは、人生の中で一番大きな買い物になる可能性があります。
出来れば1年間の家計の状況を把握すべきだと考えています。
上記の理由に加えて、1年に1回の支出しかないものも少なくないからです。
また、基本的に1円単位で全ての収入と支出を把握することが望ましいです。
支出がクレジット払いや口座引落であれば、明細から把握する事は可能ですが、現金払いでは1枚1枚の領収書が大事になるので保管するようにしましょう。
なお、例えば、夫婦と未婚の子供1人の世帯での平均(住宅除く)支出は合計で319,901円となり詳細は以下データが出ています。
項目 | 平均 |
食料 | 78,674円 |
水道光熱費 | 23,905円 |
家具・家事用品 | 13,195円 |
被服及び履物 | 12,085円 |
保険医療 | 13,506円 |
交通・通信 | 57,650円 |
教育 | 19,481円 |
娯楽 | 30,495円 |
その他支出 | 70,910円 |
妻の就業状態-夫婦と未婚の子ども一人の世帯|家計調査年報 2022年度
一方、同条件での世帯収入の平均実収入は714,133円となっています。
差引すると394,232円となり、ここから税金や社会保険が引かれ残った金額を住宅費や貯蓄・投資に配分していくことになります。
税金と社会保険を世帯の平均実収入の20%と仮定した場合は142,826円となり、再度差引をすると251,405円となります。
ここでのポイントですが、生活費は平均と近い金額にならないといけないわけではありません。
個人や家庭によって生活に対する価値観は変わります。
外食や教育や娯楽など、何にどの程度の価値を感じるかによって生活費は大きく変動するものと考えましょう。
ただ、さすがにこれはお金をかけ過ぎだよね。という一種のブレーキにもなると思いますので生活費の平均を知っておくことは大事だと思います。
毎月いくらの返済額が理想なのか
1番のポイントである1年間の家計の状況を把握しました。
ここでは、家計調査年報の数字を使わしていただきますが、家計の状況を把握した結果、毎月251,405円を住宅と貯蓄と投資に回せる事が分かったとします。
例えば、貯蓄と投資に3万円ずつ回したい家庭であれば、住宅ローンの元本返済と利息支払で191,405円となるのが良いでしょう。ただし、住宅を購入すると固定資産税がかかりますし、金利の上昇不安もあるので月3万円程度は低めに見積もっておくのが安全だと思います。この例でいくと161,405円の元本返済と利息支払くらいに抑えるのが安全に考える世帯の理想になるのではないでしょうか。
一方、貯蓄と投資なんて最低限で良い。今が一番大事だ。という価値観の家庭ではもう少し住宅ローンの支払額を上げても良いかと思います。
返済比率と年収倍率は平均的な家庭だけが使える指標
ちなみに、住宅ローンを検討するときに返済比率や年収倍率から住宅ローンの金額を検討される方もいると思います。
返済比率の意味:住宅ローンでは「年収に占める年間返済額の割合」を表します。
年収倍率の意味:住宅ローンの借入額が年収の何倍まで借りられるかを表します。
これらは、金融機関が住宅ローン審査の際に用いられる指標です。金融機関からすると返済がされなくなるのが怖いので、これらの指標を利用してより安全に返済出来るような保守的な住宅ローン金額を提示してきます。
世間の平均的な支出と同様の家庭であれば、支障はないかと思います。
例えば無理なく返済できる返済比率の目安は20%-25%と言われています。
仮に欲しい住宅が5000万円だったとします。フルローンの変動金利0.5%、元利均等、ボーナス払い無しで借入をすると年間返済額は1,557,504円(月返済額129,792円)となります。また、年収については家計調査年報の数字を利用すると8,569,596円です。
この時、返済比率は1,557,504円÷8,569,596円×100=18%となります。
無理なく返済出来る20%-25%を下回っているので安全ですね。という判断になるのですが、もし、1年間の家計の状況を把握しておらず、実は外食と娯楽が好きで、夫婦と未婚の子供1人の世帯での月平均(住宅除く)支出である319,901円より100,000円多く支出する家庭だとしたらどうなるでしょう。
生活費を除いた住宅と貯蓄と投資に使えるお金は、先ほど計算した住宅と貯蓄と投資に回せるお金である251,405円から100,000円を引いた151,405円しかありません。住宅ローンの月返済額は129,792円なので、21,613円しか貯蓄と投資に回せなくなります。金利が1%上がるだけで、月返済額は153,092円となってしまうので、貯蓄や投資はおろか毎月赤字家計になります。
まとめ
今回は住宅ローンを検討する上で最も大事なのは返済比率でも年収倍率でもなく、1年間の家計の状況を把握する事だという内容となります。もし、家計の状況を把握するのを手伝って欲しい。そして住宅ローンだけでなくライフプランや税金も考慮したアドバイスが欲しい。といった方がいらっしゃいましたら是非弊所までご相談ください。
弊所は「税金×会計」、「税金×ライフプランニング」、「税金×経営」、「税金×不動産投資」、「経営×補助金」、「経営×融資」など、弊所の強みを生かした事務所作りをしています。
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大手監査法人での経験を生かして、質の高い税務・会計・経営分析情報の提供を誰もが納得出来る形で説明するように心がけています。
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