300万円が事業所得と雑所得のボーダーになる

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(2022年10月7日追記)

8月末にupした以下の記事ですが、パブリックコメントに通常の10倍のコメントが来て、通達案が大幅修正されるのではないかと言われています。

300万円というハードルの高さや、私も以下の記事にて懸念を示した、業種によって有利不利が出る点の意見が出たようです。

国税庁の決定までもう少し状況を追っていく必要がありますね。

(2022年8月30日記載)

みなさん、こんにちは!

大阪府吹田市で近藤会計事務所を運営している事務所長の近藤です。

公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー・認定経営革新等支援機関の資格等を元に日々奮闘しています。

先日、副業をされている方にとってはショッキングなニュースが流れました。

近藤
近藤

副業が事業所得に該当するのか、雑所得に該当するのか、今まで曖昧になっていた部分について、基本通達(税務調査官が現場で法解釈するための指針と考えて下さい)による判断基準の案が出ているんです。その案の文言は以下の通りでした。

『事業所得と業務に係る雑所得の判定は、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するのであるが、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証のない限り、業務に係る雑所得と取り扱って差し支えない』

このニュースを確認した時に、このような通達案を出してきた理由について真っ先に2つ思い浮かびました。

1つ目は、働き方改革からのコロナ影響によるテレワークの高まった。

2つ目は、持続化給付金や月次支援金・事業復活支援金の不正取得が多発した。

テレワークで時間の余裕が出来たり、副業を認める会社が増えたりすることで、会社員の副業を事業所得の赤字にして損益通算という制度で税金を低くする人が多く出てきました。

また、多角的な観点から事業とは言えないものを事業所得とする事で、不正に給付金等を受給しようとする人も多く出ました。

そのため、国税庁としてはここで何らかの対応をとらないと、今後も看過できない不都合が起きると判断したんでしょうね。

そこで、今回の基本通達による収入300万円の事業所得と雑所得の線引きです。

基本通達によって何が変わるか

事業所得と雑所得と儲けの種類が変われば、税金はどう変わるんでしょう。

ポイントは以下の通りです。

事業所得であれば、以下が認められますが、雑所得の場合は認められません。

①青色申告特別控除(青色申告の場合)

②損益通算

③損失の繰越(青色申告の場合)

④少額減価償却資産等(青色申告の場合)

⑤専従者給与

これらの中でも、多くの人は①②については、影響する人が多い気がします。

影響を受ける範囲が大きな①②について、詳しく見ていきましょう。

近藤
近藤

自身の状況を考え、①~⑤の内、どの影響を受けるのか、そのためにどのような対応を取って行くべきか、早めに考えて動ける人が税制を上手く利用出来る人だと思います!!

収入が300万円以下だと青色申告特別控除が使えない

今回の基本通達で最も影響を受ける人が多いのは、収入300万円以下だと青色申告特別控除が使えないという事ではないでしょうか。

青色申告特別控除を受けるという事は、正しい帳簿を作れて事業の財政状態や経営成績の分析が出来るようになるだけでなく、最大65万円の経費を認めてくれるという、一石二鳥の仕組です。

税金面で考えると、例えば、所得税率と住民税率を合わせて30%になる場合には、19.5万円の節税が可能になります。

→青色申告特別控除

なお、青色申告特別控除を受けるためには、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出する必要があるのでご留意ください!

→所得税の青色申告承認申請手続

会社員で給与を貰いながら、副業で200万円の収入があって65万円の利益が出ているような場合にはダメージが大きいです。

一方、青色申告特別控除の影響が出ない人もいます。

それは、会社員で給与を貰いながら副業で200万円の収入があって65万円の損失が出ているような場合です。

青色申告特別控除は事業の仮利益の後に65万円の経費を認めてくれる制度なので、副業で損失になっているのであれば、青色申告特別控除の65万円を使う枠自体がなくなり埋没してしまいます。

それでは、65万円の副業損失が出ている人は影響がないのかと言うと、そうではありません。

次の②損益通算について考えてみましょう。

収入が300万円以下だと損益通算が使えない

損益通算とは、1つの損失を別の利益から控除して良いという制度です。

→損益通算

簡単に具体例を示すと、給与が500万円あって、副業の赤字が65万円の場合は500万円-65万円の435万円に対して、所得税率や住民税率を掛け算して税金を決める事が出来る制度です。

副業開始初年度に消耗品・勉強会・セミナー・広告宣伝・HP作成等で支出はたくさんあったけど、まだ、売上には繋がっていないという状況であれば、赤字になる事も考えられます。

今までは、損益通算の恩恵が受けられていましたが、今後は収入300万円以下の赤字はばっさり切り捨てられてしまいます。

専業の場合は300万円以下でも対象外になる

今回の基本通達は、副業をしている人がメインターゲットになってしまっています。

一方、専業で事業をしている方はその事業の収入が300万円以下であっても、①~⑤の影響を受けません。

青色申告特別控除も受けられるし、損益通算も受ける事が出来ます。

この点はきちっと分けて考えましょうね!

まとめ

今回の基本通達については、私は基本的に賛成です。

事業所得と雑所得の判断って、それぞれお客様で状況が違うので難しいんですね。

このお客様は総合的に考えると事業所得になると判断したけど、税務調査で事業所得と認められません。と言われてしまうと、お客様に余計な負担を増やしてしまう事に繋がってしまうんです。

予め300万円というボーダーが示されていると、お客様に説明しやすいし、理解も得られやすいですしね。

一方で、収入を基準にする弊害もあって、例えば副業で転売するケースでは実務上の問題が出ると思います。

1万円で仕入をして、1万円で販売を301回すれば、あっという間に収入が301万円になって、事業所得の恩恵を受けることが出来てしまいます。

薄利多売な業種ほど、有利になるという傾向はあるので、多少の問題は出てくるんでしょうね。

最後に、弊所は「税金×会計」、「税金×ライフプランニング」、「税金×経営」、「税金×不動産投資」、「経営×補助金」、「経営×融資」など、弊所の強みを生かした事務所作りや

お客様と『同じ目線』に立ち、お客様の『味方』となり、お客様を『応援する・守る』ことを経営理念にもち、お客様に寄り添って仕事をするよう心がけています。

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どうぞよろしくお願いいたします。

投稿者プロフィール

ykondo
ykondo
近藤会計事務所の所長をしています。
大手監査法人での経験を生かして、質の高い税務・会計・経営分析情報の提供を誰もが納得出来る形で説明するように心がけています。



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