教えて経費⑥ スーツ代を経費で落とす方法
みなさん、こんにちは!
大阪府吹田市で近藤会計事務所を運営している事務所長の近藤です。
公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー・認定経営革新等支援機関の資格等を元に日々奮闘しています。
教えて経費シリーズ第6弾は、スーツ代を経費で落とす方法があるのかどうか考えてみます。
なお、教えて経費シリーズでは、「事業のための」支出である事が前提であり、「事業と関係のない」支出は経費になりません。
この前提はしっかり覚えておきましょう!
スーツ代は経費になる可能性はある
まずは結論からです。
事業遂行上の必要性を説明する事が出来れば経費で落す事が出来ます。
是非覚えておいていただきたい経費についての基本的な考え方です。
あくまで経費となるのは事業の為の支出です。つまり、生活の為の支出は経費にならないという事です。生活の為の基本の支出は「衣食住」です。衣食住にかかる支出は生活に軸足を置いたものなので、当該支出を経費にするためは、必要性・範囲について、より一層の合理性を持って説明出来るかどうかが求められます。
では、スーツ代が経費になる合理的な説明って何なのでしょうか?
スーツ代が経費になる例示
- クライアント先に常駐して仕事をする(クライアントはスーツ着用義務あり)
- 士業や保険外交員など、社会通念に照らして信頼感が必要とされる職種
- スーツ着用の必要性が高いセミナーや講演会で着用する目的
このように、義務として求められている場合や、世間一般から見て必要だよね。と思われる状況の場合はスーツ代は経費となり得ます。
ただし、上記の例示に当てはまるから全額経費になるかと言うと、そうではないと考えられます。
例えば、3.のケースの場合を深く掘り下げてみます。(私見が混ざります)
前提として講演会は月に1回継続的に開催。1回の講演会の時間は2時間とします。スーツ代は36,500円です。
プライベートでは全く利用しないケース
この場合は、スーツ代の全額36,500円を経費として計上出来る可能性があります。
ただし、使用履歴を残しておく必要があります。
最後は、事業主の仕事やプライベートの状況を総合的に勘案して判断される事になると思います。
なお、自分で作成する使用履歴は客観性が低い証拠ですが、使ってないものを使っていないと証明するのは困難です。
そのため、少なくとも、使用履歴は残しておきましょう!
プライベートでも使用したケース
この場合は、セミナーで2時間/月×12か月=24時間。つまり、仕事で1年間の内、1日分利用したと考えられるので
経費の金額はスーツ代の36,500円×1日/365日=365円となり
厳密に仕事をした分だけの365円が経費になるのではないかと考えられます。
その理由は以下の通りです。
昭和49年5月30日京都地裁で出た判決があります。
内容については以下3項目に抜粋記載しておきますが、スーツ代は家事関連費と考える場合がある。と結論づけています。
家事関連費になるなら、仕事上で必要とした部分だけは経費と認めても良いかも知れないという事です。
- 被服費は、一般的には、個人的な家事消費たる家事費に属すると解するのが相当である。
- 専ら、または、主に家庭において着用するのではなく、これを除き、その地位、職種に応じ、勤務ないし職務上一定の種類、品質、数量以上の被服を必要とする場合には、その被服費の支出は勤務についても関するものとして、家事費ではなく、家事関連費であると解するのが相当である。
- 被服費の支出も、勤務上必要とした部分を、他の部分と明瞭に区分することができるときは、当該部分の支出は必要経費になると認める余地がある
なお、このスーツ代ですが、例えば、旅費交通費の支出とは意味合いが異なります。
旅費交通費は家事費である事が前提とはなりません。そのため、事業で出張した際についでに、少し観光をした場合であっても飛行機代は経費になります。
一方、スーツ代は家事費である事が前提となっている点で異なります。前提は家事費だけど、仕事で使った部分があるなら、その部分だけは経費として認めますよ。という流れです。
スーツ購入代の主目的が仕事の為であっても、前提が家事費なので、プライベートで利用してしまったら、仕事で必要な部分だけしか経費にならないと判断されます。
サラリーマンの特定支出控除
サラリーマンも一定の場合、税金計算の際に控除して良いよって支出があるんですよね。それが特定支出控除と呼ばれるものです。
その中には、衣服費も含まれていて、要件満たせば全額控除されるような税設計になっています。
これを持って
サラリーマンは全額控除してくれるのに個人事業主は必要部分だけっていうのは不平等じゃないですか。平等に個人事業主もスーツ代を全額経費にしても良さそうな気がします
という考えもあるかも知れません。
まとめ
スーツ代は経費になる可能性はあります。
ただ、経費にするための条件や、金額計算についての細かい所まで考える必要はあります。
今回は私見がかなり混ざった記事になっていますが、参考にしていただければと思います。
ここまであるべき経費を書いてきましたが、実務では税理士の知識・経験・裁量により、同じお客様の申告を担当しても納税額は多少変わっているのではないかと思います。
税務調査も同じで、調査官が違えば判断は異なる事が多々あります。
専門家でも意見が割れるのですから、税理士をつけずに確定申告をされている個人事業主の皆様は、まずは自分自身で事業に使った事を自信をもって説明出来るか。という視点で考えれば良いと思います。間違ってても、理解を示してくれる税理士や税務調査官の方が多いと思いますので、その点は安心して相談や申告をしてくださいね。
金額にはよりますが、税理士や税務署の判断が分かれるような難しい事案の際には、経営者がうんうん唸って時間だけとられて、本業の売上が少なくなってしまうと本末転倒です。
それは税務署(国)にとっても望んでいない結果だと思いますので、割り切りも大事だと考えています。
以上で、スーツ代を経費で落とす方法の説明は終わりです。
教えて経費シリーズの前回の記事リンクを以下に貼っておきますので、興味のある方はご覧ください。
最後に、弊所では
「税金×会計」、「税金×ライフプランニング」、「税金×経営」、「税金×不動産投資」、「経営×補助金」、「経営×融資」など、弊所の強みを生かした事務所作りや
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投稿者プロフィール
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近藤会計事務所の所長をしています。
大手監査法人での経験を生かして、質の高い税務・会計・経営分析情報の提供を誰もが納得出来る形で説明するように心がけています。
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